鳥海）ネスノさんもそんなことを考えておられたとは！　昨年出版された伊藤洋志さんの『ナリワイをつくる』（東京書籍）という本がありますが、今のお話、その本の内容とも重なるところがありますね。ざっくり説明すると、これまでのようにひとつの仕事で売上げを伸ばそうとすると、どうしたって競争社会にもろに巻き込まれて、食べていくために心身ともに、かなりの無理をせざるをえなくなったり、仕事の中身的にも歪みが生じてしまうことも多い。でも本当にそういう生き方しかないのかな？…と。無駄な支出を減らしつつ、自分で出来ることは自分でする。そして、生活のなかから仕事を生み出して、かついくつかの仕事を複合的に動かしていくことで人とのネットワークも広がり、自分の技能も育つんじゃないかという話なんです。ネット上では、賛否両論のようですが、私個人的には、いろいろ難しい面もあるにしろ、面白い考え方だと思いました。

茂田）哲学的なことなのか、科学的なことなのかという論争はありつつも、DNAの疲労っていうのがあるらしいんです。いまのおじいちゃんおばあちゃん、その上の世代は大変な思いをした競争社会だったから、いまの若い人達がガツガツとしていないのは、そういう種の変化という側面もあるのかもしれない。確かにコンビニが一晩中やっているとかって便利だけど自然の流れに反しているし、労働という観点からいっても、夕方には終業してみんなお家に帰ってご飯を食べる、というスローな感じになっていっても良いのかな、と思います。

鳥海）その点、私がいま住んでいる深大寺の周辺は進んでいますよ（笑）。コンビニも近くにはないですし、だいたい17時をまわったら、お寺の周りのお蕎麦やさんやお土産やさんは店じまいしてしまいます。「夜は、ちゃんと暗くて夜！」という感じです（笑）紅梅先生との対談のなかでは、これからの時代のキーワードは"待つ"ということではないかという話も出ました。現代人は「待つことができない」傾向が強い。「これだけ頑張って真面目に漢方薬を飲んでいるのだから、結果はもうすぐでますか？」と1、２ヶ月くらいで聞いてくる方も多いらしいんですね。先生の勤務されている漢方相談薬局では婦人科系の中でも、特に不妊の問題でたずねてこられる方が多いのですが、妊娠、出産となるとやはり新しい命を生み出すわけですから、本当の意味で体が変わるには、本来1年くらいは見て欲しいと。そこを せっかちになって、体の準備がちゃんと整わないままに子どもを授かってしまうことのほうが、よっぽど心配だとおっしゃっていて、確かになぁと思いました。

茂田）幸い、ネスノのユーザーさんに関しては、「これを使って早くどうにか！」みたいなことに疲れ果てた方が辿り着いていることも多かったりして、比較的ゆったりした心持ちで肌の変化を見つめられる方が多い気がしています。それと、妊娠をきっかけに興味を持ってくださる方も多いんですよね。

鳥海）いろいろ使うことに疲れてとか、妊娠をきっかけにっていうのは、面白いですね。やっぱり安心感なのでしょうね。私は、スキンケアの知識に関しては恥ずかしいくらいなくて。幸い長年、そこまでトラブルが出なかったこともあるのですが、あまりこだわりってなかったんです。でもここ数年、春の時期にすこし仕事などで無理をして疲れると、花粉に負けるのか肌がチクチクするという経験を何度かしました。そんなときに、ネスノを使ってみて、最初は「油分のフタじゃ なくても保湿できる」っていうのが、本当かな？大丈夫かな？と少し心配になりました。

茂田）そうですよね、最初はみなさん心もとない感じがすると思います。

鳥海）でも、結果的には良かったようで（笑）。そうそう、ネスノのメルマガに「この時期は、顔についた花粉をまず一回洗い流してください。いきなりクレンジングすると花粉を肌にすりこむことになります」っていう一文があって、けっこう目からウロコでした。ちょっとしたことだけど、ちゃんと考えてくれているなあと。いっぺんに いろいろ知識を与えられても混乱してしまいますが、季節ごとに起こりやすい肌トラブルへの対処法を、その都度教えてもらえると、とても助かるし実践しやすいと思いました。

茂田）そういった季節的にスキンケアで気をつけるべきことなども、先ほどの中医師の先生のお話と一緒で、ちょっと立ち止まって考えてみる心の余裕が大事だったりしますよね。『キレイのいろは』の立ち上げも、いわゆる通説を鵜呑みにしたり、まわりと比べるのをひとまず止めて、自分らしいキレイの保ち方について考えてみませんかっていう提案のひとつです。カラダとココロを整えられる食べ方についてはみなさん関心も高いと思いますし、私自身も鳥海さんのお話をとても楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

鳥海）こちらこそありがとうございました。今回のお話で私もいろいろ新しい発見がありました。この連載を機に、私自身もスキンケアについて、いろいろ勉強していきたいと思います！