美しい肌を保つには、細胞に酸素や栄養を運ぶ血液（動脈血）、老廃物を回収する血液（静脈血）やリンパなど、体液が全身をスムーズに巡っていることが大切です。しかし、二足歩行で重力の影響を受けている人間は、この体液循環が局所的に滞りやすくなっています。一日中デスクワークや立ち仕事をしていると、夕方に顕著になる足のむくみ。これは足先から心臓に戻ろうとする血液（静脈血）やリンパの流れが、重力の影響を受けて停滞してしまうことが原因。そして足先の体液循環を促すには、ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用が必要不可欠なのです。このポンプ作用が止まってしまえば、血液（動脈血）の中の栄養素をふくんだ余分な水分（血漿成分）は毛細血管からにじみ出たまま静脈血やリンパに回収されず、足はぷよぷよにむくんで重だるい感覚に。そしてこのむくみ状態が続くと、次第に余分な水分（血漿成分）や老廃物は皮下の脂肪細胞に付着して脂肪細胞が肥大化。足は太くなり、肌表面には凸凹としたセルライトを形成、肥大化した脂肪細胞はさらに毛細血管やリンパを圧迫して体液の循環はますます悪化してしまいます。

足もとの体液循環にとって筋肉によるポンプ作用は重要ですが、体温や体内のミネラルバランスというものも、深く関係しています。現代女性にとって夏という季節は、体の外側は冷房や生足ファッションによって、体の内側は冷たい食べ物や飲み物によって、知らないうちに部分的な冷えが起こる可能性が高い季節。実は冬よりも血液やリンパの流れが停滞しやすくなっています。また、体内の水分代謝に深く関わっているのはナトリウムとカリウムで、両者はバランスを取り合って細胞内液のpHや浸透圧のバランスを整えるよう働いています。夏バテによる食欲不振から、塩辛いものを摂り過ぎでナトリウム過多にならないようにご注意を。ナトリウムは毎日約2400mg（塩でいうと小さじ一杯弱）まではOKといわれています。水は運動とともに１.5リットル?2リットルくらいは飲んだほうが塩分の体外排出を促せます。むくみを恐れて塩分や水分を極端に控えてしまうのは逆効果で、カリウムが含まれた食品も適度に摂る、筋肉運動を助けるマグネシウムの摂取なども大切です。

体液循環の停滞サイン＝むくみ を防いだり解消するには、「冷え対策」「水分やミネラルの摂取」「筋肉のポンプ作用を促す運動」この３つがそろってはじめてかなうことがわかりました。足もとが冷えたら足湯をする、冷たい飲み物や食べ物を摂り過ぎない、ミネラルを食べ物からバランス良く摂る、その上でどんな運動をすれば良いでしょう？ ウォーキングやランニング、ヨガやピラティスなどのエクササイズ、足先をふくめ脚全体を使える運動ならいずれも効果が望めると思いますが、これからご紹介するのはお家でテレビを観たりしながら簡単にできる動きです。まずは、日頃から靴に押し込められて硬くなっている足先をほぐす動きから。入浴しながら行うのもおすすめです。

足指と足首をしっかりほぐしたら、テレビを観ながらでもできてしまう美脚エクササイズに入りましょう。タイ古式マッサージに由来するこの動きは、足指や足首をより柔軟に、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用を促進、膝まわりのたるみを防いで、太ももや股関節のストレッチもできてしまう、とてもお得な動きです。また下半身だけでなく、上半身と下半身をつなぐインナーマッスル（大腰筋）のトレーニングにもなるので、下腹の引き締めはもちろん体の軸を整えて姿勢の歪みを正すのにも役立ちます。体を傷めず効果的に行うポイントは、勢いをつけて動かないこと。前後に体を動かすにあたり、自然でゆったりとした呼吸で、足のどの部分を使っているか、どの部分が伸びているか、足首からふくらはぎにかけて心地よい刺激があるかなど、できるだけ体に意識を向けて、じっくり重心移動することを心がけて。何より「むくみはその日のうちにケア」が鉄則です！