はじめまして。キレイの「いろは」で、「食べること」を担当させて頂きます、鳥海明子です。薬膳では、「肌は内臓の鏡」と言われるくらいで、体のなかの調子がお顔や肌の表面にダイレクトに現れると考え、顔や髪の毛などのトラブルであっても、部分としてでなく体全体のバランスとして捉えます。
ネスノのスキンケアの考え方も、ただ体の表面だけをキレイにというものではなく、内側から元気に! そしてキレイに! がポリシーということで、大事にしているところは同じです。今回の連載では、薬膳の基本となる中医学の考えかたにそった季節ごとの食材の選び方や組み合わせ方のほか、季節の変化を感じながら過ごすということを軸に毎回お話をさせて頂きたいと思います。
みなさま、1年間、どうぞよろしくお願いいたします。
草木が芽吹き、動物たちも活発に動き出す春は、陽気も高まり自然と気分も高揚し新しいことを始めたくなる、そんな季節です。
しかし、その反面、お肌の面では、冬の間に体内にたまった老廃物が体の外へと出てこようと顔をのぞかせるため肌あれを起こしたり、花粉症によるかゆみや、湿疹、じんましんなど、なにかとトラブルが起こりやすい時期でもあります。
「春一番」という言葉に象徴されるように、春は強い風がよく吹きますが、薬膳のもととなる中医学(中国伝統医学)では、春は、この風(風邪=ふうじゃ)が体調を崩す大きな要因になると考えます。風邪は、軽くよく飛び発散するという性質があり体の上部や皮膚トラブルを引き起こしやすく、症状がどんどん変化して安定しないのも特徴のひとつです。
また、五臓六腑などと言われますが、春は五臓の肝(かん)と関わりの深い季節。肝は血液の貯蔵庫としての役目のほか自律神経を司り、精神面や情緒と関係しています。そのためこの時期、肝がのびやかに働けないと、五月病などの不調を招きやすくなり、逆に肝の気がオーバーヒートして上昇しすぎると、のぼせや頭痛、目の充血などのトラブルが起きやすくなります。肝をいたわりバランスを取りながら、春にすくすくと生長していく植物たちのようにのびのびと、なるべく気の巡りを停滞させずに過ごすことは春の大切な養生です。
日々の生活がバタバタしていると、あまり手のかかるお肌のケアを続けることも難しい…というのが正直なところ。
食事づくりもまた然りで、「体にいいものを食べたい!」と頭ではわかっていても、仕事で疲れて帰ってくると、ついつい出来合いのものでパパっと済ませてしまったり、とりあえずお腹が満たせればいいや、という「義務ごはん」になりがちです。
以前、私がスタッフとして働いていた漢方相談薬局に、冷え症や肌荒れ、婦人科系のトラブルなどで相談にこられる若い女性のお客さまのほとんどが、日々疲れすぎていてなかなか食事を作る気力がなかったり、食事といえばすぐに調理ができるパスタばかりでお米を食べていなかったり…。はたまた、温かい汁物を飲んでいないというかたがすごく多かったことが、強く記憶に残っています。
薬膳では、ごはん(米)は、「気」を補い、慢性疲労を解消し、胃腸の働きを整え、イライラ防止にも役立つ食材とされています。
そう、ごはんは日本人にとって元気の源!
ネスノも、ごはんとお味噌汁のような、シンプルでいて日々の暮らしに根ざしたスキンケア商品を作ることが目標と知り、今回のレシピ連載はズバリ! 「ごはんとお味噌汁(ときにはスープ)」という組み合わせで毎回ご提案していくことに決めました。